中国

中国で携帯電話のSIMを買う際、ほぼ必ず「番号どれがいい」と聞かれます。新品のSIM(未契約のもの)であればSIMのパッケージに番号が書いてありますのでこれを見比べて好きな番号を選べば良いですし、店舗で様々な番号を在庫として持っている場合には、リストの中から 好きな番号を選ぶことで契約することができます。

中国での携帯電話の番号から見る数字への意識

8が連続する携帯番号

後者の場合、通信事業者の正規の店舗ではなく街中の携帯電話ショップでは、そのリストに載っている番号は多くの場合で契約済みのSIMの番号で、誰かが既に一度契約した番号を転売しています。その中で目に付くのは「8」の番号。8888と並べば10万元(日本円で200万円弱)を超える ことも珍しくありません。一方、こうしたリストに載らない、もしくは安い価格でリストに載っているものは「4」が含まれる番号。4は「死」の発音に近い (死は si の三声、4は四声)ので、日本と同様に好まれません。一方、8は発財の発という言葉の音に近く、縁起の良い数字とされています。中国企業の経営者や富裕層の人と携帯電話の番号を交換する機会があれば、ぜひその人の携帯電話の番号を眺めてください。例えば、最後に「44」とつくような番号を使う人はほぼ見ま せん。日本でも忌み嫌う数字(4や9)はありますが、中国での数字に対する感覚はさらに強いものがあります。数字の話は中国入門の様々な本にも必ずといっていいほど紹介されていますが、今回は携帯電話の番号の世界から垣間見ることができる中国の数字への意識について触れてみることにします。

携帯電話のショップに行って、「良い番号は無い?」と聞けば、A4の紙に番号が印刷されたリストを見せられる、あるいは壁に貼ってあるリストを見せてくれます。中には、自分の誕生日が含まれる番号が欲しい、結婚記念日の日付が含まれる番号が欲しいというリクエストを携帯電話ショップの人に伝え、さらにそれを「番号ブローカー」の人が探し、既に出回っている番号であれば持ち主と値段交渉をすることや、あるいは新たに携帯電話会社が発番した番号を見つけて取り 押さえてくれるということもあります。

通信業者のWebサイトで販売されている番号

中国電信や中国聯通など通信事業者のWebサイトでも、オンライン契約の際に好きな番号を選ぶことができます。AAA(同じ番号が3つ並ぶ)、AAAA(4つ並ぶ)、ABCD(1234のように数字が一つずつ上がる)など好きな形式を選ぶと在庫の番号が出てきます。ただ、こうした場所ではあまり良い番号を見つけることは出来ません。本当に良い番号を探そうと思えば、前述のような市中の携帯電話のショップをいくつか歩いてみることです。番号ブローカーが複数の店舗と繋がっていることはよくあるので、 在庫番号のリストを見て同じだなと思えば違うお店を見て回ればよいでしょう。

カップル用の携帯番号

カップル用の携帯番号

夫婦やカップルのため「情侶号」、即ち番号が似ているセットも売られています。写真にあるように、一番違いの番号を探してきて、それを二つ抱き合せて売っています。これも、最後が「88」となると途端に高くなっていることがわかります。最近では子供に携帯電話を持たせるときに、子供の誕生日が入っているものが良い、というリクエストをする親もいます。

また、縁起の悪い数字としてあらゆる場面の数字から4は外れています。中国のホテルに泊まれば部屋番号で末尾に4がつくところはありませんし、所得層の高い人たちが乗っている車のナンバーを見ても同様です。インターネットインフラの仕事の場合、IP アドレスの末尾に4を使うことを嫌う中国のお客様もいらっしゃれば、データセンタのラック番号でさえ4が付く番号は割り振られていないということもありま す(今まで私が見てきた数多くの中国国内のデータセンタで、4が付く建物番号・部屋番号やラック番号が付いている場所は見たことがありません)。当然こう した感覚は世代や地方による違いは当然ありますが、日本人が思う以上に4という数字に対する距離感があります。

中国では沿岸部を中心に所得水準が上がり、少し金額が高めのスマートフォンを持つことは、中国人の意識の中によくあると言われる「他人との違い」にならな くなってきました。またいわゆる「石炭成金」の人のように、何かしらの事業で一山(ひとやま)当てた人にとっては、10万元、20万元の携帯電話の番号は 高くありません。この、中国における「他人との違い」を現すという要素は、携帯電話の端末のように見えるものではなく、番号という見えないものに移りつつあります。

(japan.internet.comに掲載したコラムに一部追記しています)